南南西の空 ー その1

子供の頃、南南西の空を見るといつも、"あっちには何かがある、いつかあっちの方に行かないと" と感じていました。

その頃住んでいた家の南の方には市民の森と浄水場があり、それらは杉の森の中にありました。その杉の木々の上端と空の境い目を眺める度に、そわそわ、わくわくして、“あの森の、あの空の向こうに行かないと”・・と思っていたのです。

何というか、"世界の中心はそっちの方にあって、そこではかつて何か混乱が起こり、自分含めて、今そこに居ない人は、そこから移動してあちらやこちらに流れてきた人達なのだ" と漠然と思っていました。いつ頃からか、その、南南西の空を見るとそわそわする感じは無くなっていたのですが。

・・それから数十年後、そんな南南西の事など既に忘れていましたが、今度は、"いつかその時が来たら"、休みを取って1人で南の島に行き、周りに私の事を知っている人が誰も居ない所でゆっくりのんびり何もせずに過ごそうとなんとなく思うようになりました。

その頃は、旅行といえば、国内でさえ旅行会社のツアーに複数人で参加する形式のものばかりで、一人旅は料金が倍・・という悲しい時代でしたが、ある時、そろそろ"準備が出来た"と感じ、決行しました。行き先は東南アジア。・・図らずも南南西でした。


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森と空の境目・・こんな感じ。